この記事はネタバレがメインではありませんが、考察の材料としてネタバレが含まれます。
第二章day24クリア以降の閲覧を推奨します。
「それは、終わりのない地獄のようで」
これは公式トレーラーにも含まれていた、蒼井えりかのセリフ。
ハイパーサイメシア
超記憶症候群(ハイパーサイメシア)で、今まで見て聞いて体験してきた全てのことを全て覚えている=何一つ忘れることができない蒼井えりか。
彼女にとっての「終わりのない地獄」は、目の前で部隊の仲間が全滅し、自分だけが生き残ってしまった過去をいつでも鮮明に、今そこにいるのと同様に体験し続けてしまうことでした。
蒼井えりかのセラフは盾
蒼井えりかの役割は「ディフェンダー」で、セラフは盾でした。
以前からずっと彼女を見てきた人からは「優しすぎる性格」と言われています。(たしか、司令官が言ってた。)
人一倍、優しさと責任感を持ち、仲間を守るポジションのディフェンダーが一人だけ生き延びる。
普通の人でもトラウマになる可能性があって、ふいにその光景が思い出されることはあるでしょう。
永遠に再体験する
ハイパーサイメシアの蒼井えりかは思い出すなんてレベルじゃなく再びその場面を体験しているに等しい。
そしてその体験を永遠に忘れるどころか、記憶がおぼろげになったり薄れることも決してない。
これは確かに終わりのない地獄です。
31Bのセラフィムコード
蒼井えりか | どうか安寧な記憶を |
水瀬いちご | インフェルノに焼かれな |
水瀬すもも | ニブルヘイムで凍えろにゃ |
樋口聖華 | 新鮮な「死」を見せてくれ |
柊木梢 | 眠れ、イノセントレクイエム |
ビャッコ | ヴァゥーーーーーーー! |
隊員達とそのセラフィムコードは「死」と「地獄」に関連してます。
セラフィムコードは、軍がもしかしたら本人以上に当人たちの精神や記憶を把握した上で「高揚するワード」として設定したもの。
「インフェルノに焼かれな」
元殺し屋(姉)水瀬いちごのセラフィムコード。
インフェルノは「地獄の業火」あるいは単純に「地獄」、「地獄のような状態」を表す言葉。
いちごは隊員の中でも蒼井想いだったから、このセラフィムコードで気分が高揚するっていうのはちょっと皮肉すぎる気もする。
「ニブルヘイムで凍えろにゃ」
元殺し屋(妹)水瀬すもものセラフィムコード。
ニブルヘイムも地獄のことで、一切の温もりのない氷の世界。
「永久凍土」の地です。
バンド曲の歌詞1
蒼井が参加したこの曲は、全員で作詞してました。もしかしたらこの歌詞を提案したのは蒼井だったのかもしれない。
「新鮮な「死」を見せてくれ」
もろに「死」を口にしちゃう樋口聖香のセラフィムコード。
31Bに限らず全てのメンバーで最も「死」に対して興味が強く、さらに肯定的というか、むしろ自他ともに実際に死んでくれたらそれについて知れるのにと思ってる感がすごい。
バンド曲の歌詞2
カレンちゃんがデスボイスで歌う英語部分
「This is my Dying cry! Thisi s me dying at last!」
「これは私の悲痛な叫びだ!これは私がついに死ぬ時の叫びだ!」(機械翻訳)
ここにも「死」が含まれています。
他にも「何かいいことあったか」だとか、この曲は蒼井ストーリーだと考えるとかなりしっくりくる部分が多くあります。
「眠れ、イノセントレクイエム」
死者の魂(幽霊)が見えているらしい柊木梢のセラフィムコード。
レクイエムは鎮魂歌。
死者の魂を鎮めるために歌われる歌のこと。
水瀬いちごがメインとも言えるストーリーイベントのタイトルは「Requiem of Blue(青い鎮魂歌)」でしたね。
「ヴァゥーーーーーーー!」
ビャッコは何を言ってるかわからないし関係ないかもしれない。
ホワイトタイガーでビャッコと言えば、思い浮かぶのは四象の白虎(びゃっこ)。
青龍、白虎、朱雀、玄武という4体で、その中でも特に白虎は「悪霊退散/護りと安心/変化や移動」を表すらしい。(参考サイトOggi.jp)
蒼井えりかの心理変化と、ストーリー後に悪いことにならないために守護し続けてくれている存在、とか。
隊員の並び順も関係がある?
- 蒼井えりか:安寧な記憶を求める
- 水瀬姉妹:地獄(生き地獄)
- 樋口聖華:死
- 柊木梢:鎮魂
- ビャッコ:変化/悪霊からの守護
蒼井えりかは永遠に薄れない最悪な体験を再体験し続ける生き地獄、そして死、安らかな眠りを願う鎮魂って並びだと時系列のようにも見える。
「どうか安寧な記憶を」
軍が設定したワード
セラフィムコードは軍が設定した「本人が高揚するワード」で、なんらかの手段で本人より本人のことを把握している様子です。
茅森月歌のセラフィムコード
茅森月歌は自分のセラフィムコード「あたしの伝説はこれから始まる」を「ダサい」と評価しました。
その割にバンド名は「She is Legend(彼女は伝説だ)」で、過去に解散したその名前を31Aになっても「新生She is Legend」として使用してる。
そして、以前の「She is Legend」よりも楽しく感じているように見える描写がたびたび見られます。
「あたしの伝説はこれから始まる」は「月歌に自覚はないけど、月歌が高揚するワード」であり、なぜか本人より軍がそれを把握してると考えてます。
そして、問題は蒼井えりかのセラフィムコードです。
「どうか安寧な記憶を」
ずっと凄惨な出来事を忘れられない蒼井えりか。
でも、もう何もしたくないとか何も記憶したくないんじゃなく、新たに安寧な記憶がほしいと前に進む願望のワードです。
実際に蒼井は月歌に誘われてバンドを組んだり、自分を危険に晒して31Bメンバーを守ろうとし、最終的には31A、31Bの盾となりました。
最終日付近ではトラウマから逃げる「ぽかーん」もしなくなっていて、月歌と31Bメンバー、そして彼女たちを身を挺して守ったことで「安寧な記憶」を持てたと思われます。
後で気がついたこと
全ての部隊名簿の右側に、その部隊を表すコピーが記載されているのに気が付きました。これをDeepL機械翻訳してみます。
Love and Peace Death is not the end of life, but the completion of life.
ラブアンドピース(愛と平和)。死は人生の終わりではなく、人生の完成である。
31Bは完全に、蒼井えりかが中心の部隊
コピー、セラフィムコード、ストーリー、全てが蒼井えりかの人生という「最上の切なさ」のために構成されているなーと思った。
部隊メンバーの中でも、特に蒼井えりかに情を持っていた水瀬いちごと水瀬すももが地獄をあらわすセラフィムコードを軍から「高揚するワード」として選出されているのは随分と皮肉。(単に元殺し屋だからでしょうけど。)
でも蒼井えりかにとっての地獄が「生きていること」であったなら、「それでも生きていてほしい」という願いを水瀬姉妹が持っていたから…だとすればあまりにも切ない。
蒼井えりかというキャラクター
何もかもを忘れることができないハイパーサイメシア。
でも水瀬姉妹と月歌の力、そして蒼井自身の強さで「安寧な記憶」を持つことができた。
31Bのセラフィムコードは蒼井の求めるもの、地獄、死と繋がっていくけれど、仲間達の鎮魂。もしかすると魂の守護もビャッコが勤めてくれるのかもしれない。
シナリオで残酷だな、でも見事だなと思う部分は、ラストシーンで初めて「記憶が薄れていく」描写をハイパーサイメシアの蒼井えりかが担当したこと。
本当にひどい。
でも「ああなると記憶が消えていく」というのは、私の別の考察である「ヘブバンは茅森月歌が記憶を取り戻す旅」っていうのに通じる。
ということは、未来の月歌は……。
今回の考察は以上です。
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