【ゴースト・オブ・ツシマ】と「SEKIRO」の共通点や、違うところ【ネタバレ配慮記事】

ゲーム布教

ゴースト オブ ツシマ(Ghost of Tsushima、以下「GoT」と表記)は、SEKIROと同じく刀での戦闘あり隠密ありのアクションゲームです。

普通にGoT単体の良いところを紹介するのではなく、SEKIRO好きなハレの視点から共通点や比較・違う魅力を紹介します。GoTが気になっているSEKIRO好きな方はぜひご覧ください!

ネタバレありの記事はこちら

この記事でストーリーの核心に迫るようなネタバレはしません。ただ、公式ページやプロモーションで紹介されている情報や、「ストーリーが進むと機能が解放される」「この技を使うにはスキル取得が必要」程度の内容は紹介しています。ゲーム中には出血や体を切断される描写があり、この紹介記事でも一部の画像に暴力表現が含まれています。

使用画像に流血表現が含まれます。
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GoTはどんなゲーム?

史実に基づいたオリジナルストーリー

史実

鎌倉時代、日本の対馬に蒙古もうこが攻めてきました。

蒙古というのは当時のモンゴル帝国のことで、中国・朝鮮半島からヨーロッパまでの超広範囲を支配していたとんでもない国です。

歴史書によると、蒙古は非常に非情な国でした。

上官命令に従わない部下は生きたまま釜茹で。敵は民間人でも惨殺・奴隷化・手に穴を開けて縄でつなぎ船にくくりつけて盾にするなど、「ゴブリンかよ」と言いたくなるほどの鬼畜なエピソードが数多く残されています。

一方で日本の武士は名乗りを上げて正面から挑み、時には一騎討ちを本当にしてしまうような誇り高い戦士でした。悪く言えば馬鹿正直なその戦法は、鬼畜にとってやりやすい獲物でしかなく、真っ先に敵陣に切り込んで功績をあげる当時の名将は、蒙古の小隊制の集団戦法に取り囲まれてことごとく討死したと記録されています。(参考:※つながらなくなっている、リンク削除?iRONNA モンゴル・朝鮮軍が日本で行った“殺戮”『産経新聞』)

ゴーストオブツシマでは

公式ページでは下記のように記載されています。

境井 仁(さかい じん)。

仁は、境井家の最後の生き残りとして、たとえ侍の道に反した戦い方に手を染めることになっても対馬の民を守ろうと決意する。

冥府から蘇った者「冥人(くろうど)」として、あらゆる手段を使って故郷を敵の手から取り戻すのだ。

Ghost of Tsushima公式 ”武士の道から外れ、邪道に落ちた兵「冥人(くろうど)」となれ”より

歴史書には蒙古が上陸した初戦で約80人の武士は全滅したとされています。史実としての記録では生き残りがいないと思われますが、GoTの主人公「境井仁(以下「仁」)」はその戦でかろうじて生き残った武士であるというオリジナルのフィクションストーリーです。

武士は命よりもほまれを大切にしていました、それは仁も同じです。しかし蒙古は百姓や赤ん坊まで残酷な方法で殺す外道集団。「戦場で死ぬのは武士の誉れ」と思える武士はまだいいとしても、蒙古がいなくなるまで対馬の民も犠牲になり続けます。

生きたまま焼かれた百姓。蒙古の非道の痕跡は、対馬のいたるところに残っている。
生きたまま焼かれた百姓。蒙古の非道の痕跡は、対馬のいたるところに残っている。

仁は「自分の命以上に大切な武士の誉れ」を、民の命を守るために捨てる必要があることを感じていきます。

印象は「プレイできる黒澤映画」

GoTは黒澤明監督をリスペクトしていて、画面表示オプションにも「黒澤モード」があります。

黒澤明は1943年「姿三四郎」が初監督作品なので、多くの映画が映像は白黒で映画フィルム特有のノイズがあり、音質もあまり良くありません。GoTの黒澤モードはそれに近く、画面が白黒で音質が少しこもったような演出になります。(あくまで演出なので、黒澤モードでもGoTは高画質です)

黒澤モード
黒澤モード

黒澤明監督は海外からも高い評価を得ていて、ヴェネツィア国際映画祭やカンヌ国際映画祭でも受賞しています。黒澤明監督作品「七人の侍」は、メキシコ版とも言える「荒野の七人」が海外でつくられたほどです。

wikipediaでは作風についてこう記述されています。

黒澤は師匠と弟子の関係をテーマに扱い、人間的に未熟な青二才がすぐれた師匠の教えを受けて一人前に成長するという物語を描くことが多い[15]

黒澤明-wikipediaより 出典:佐藤忠男『日本映画の巨匠たちⅡ』学陽書房、1996年11月。ISBN 9784313874022

GoTでも仁は叔父を敬愛していて、多くのことを教わっています。ストーリーや人間関係の面でも黒澤明リスペクトなのではないでしょうか。

また、登場人物がみんな完璧な人間ではなく、人間くさい欠点がたくさんあるという点も似ているように感じました。これがすごく映画っぽくて、そのまま実写映画になってもまったく違和感ないんじゃないかと思います。

キャラクターの見た目も綺麗すぎず、時代劇らしく眉が手入れされていなかったり髪が乱れていたりします。イケメン・美女というよりも俳優・女優といった雰囲気があります。

綺麗系とは違う俳優的なかっこよさ
綺麗系とは違う俳優的なかっこよさ

善と悪の戦いではない

正々堂々と戦う武士と、残酷な蒙古。

一見すると勧善懲悪かんぜんちょうあくに思えますが、それぞれの正義や戦略としての背景もしっかりあります。

武士が誉れを重んじるのは、民や武家の手本となり忠義と敬意を得ることに繋がっていて、治安の良さにも影響しています。

蒙古が残忍なのは極端すぎるアメとムチ。従うものには褒美を、抵抗するものには苦痛と死を与えて死体も見せしめに使う、という恐怖支配に利用するためでもあります。

仁はある意味でその中間のような存在で、「民の命を守る」という武士の誇りと「手段を選ばない」という蒙古の戦術を取り入れた唯一の戦士。それが公式紹介にもあった「冥人(くろうど)」のイメージです。

対馬には蒙古だけでなく日本人の賊やならず者がたくさんいます。立派な武人だと言われている人たちも人間くさい欠点があって、そういうところも映画っぽいんですよね。

日本への理解度が高すぎる

実はGoTも海外のゲームメーカーが制作した作品です。

しかし、どれだけきちんと調べ尽くせばここまで違和感なく日本を描けるのか。高い完成度に驚かされます。

ハレはゲームトレーラー動画を見て、英語圏のスタッフが作ったゲームだと知りました。もし知らずにプレイしていたら、日本生まれ日本育ちな戦国時代好きなマニアがつくった、と言われても信じていたと思います。

主人公の強化でも、「各地の温泉で体力上昇」「狐はお稲荷さまの使いで、ついていくと装備スロット解放」など、昔の日本の文化が強化システムにうまく反映されています。

SEKIROとGoTの共通点など

GoTとSEKIROには、意外にも共通点が多くありました。

「こんなにかぶってる」ではなく、「SEKIROのここが好きなら、GoTのここが楽しめるかも!」という紹介です。

弾き = 受け流しの極意

敵の攻撃をジャストタイミングでガードすることによって、相手の体制を崩すことができます。

SEKIROでは相手の体幹ゲージを溜めましたが、GoTでも強力なカウンターにつなげられる攻防一体のテクニックです。どちらかと言えばダークソウルなどの「パリィ」に近い感覚です。

GoTの「受け流しの極意」もSEKIROの「見切り」と同じくスキルを取得する必要があります。

さらに上位のスキルを取得していくことができて、上位のスキルの中には「受け流しの極意」発動時に体力や気力を回復することができるものがあります。

忍殺 = 闇討

相手に気づかれていない時なら、ほとんどの敵を即死。強敵なら大ダメージを与えることができます。

落下忍殺 = 落下闇討もあるので高所からの奇襲も可能です。本来ならダメージを受ける高さから落ちても、闇討なら落下ダメージを回避できるという点も共通しています。

1対1の真剣勝負をする相手には闇討できません。類稀な強敵に「不意打ちの忍殺」はできないのと同じですね。

体幹を削り取る = よろめきダメージ

GoTは忍殺ではなく体力ダメージを与えて敵を倒すゲームですが、どの敵もしっかり攻撃をガードします。

ガードの上から強打(強攻撃)を与えることで「よろめきダメージ」を蓄積させてガードブレイクさせます。ここを一撃必殺の闇討とはいきませんが、1秒くらい無抵抗になるのでそこに連続攻撃を与えて大きくダメージを稼ぐことができます。

主人公が成長すると、最大4種類の「基本となる型」を修得できます。この4種類の型は、それぞれ敵の使用武器など、タイプに合わせて特攻を持っているので臨機応変に型を変えて戦うのがGoTの楽しいところでもあるんです。

型はそれぞれに速打(通常攻撃)と強打、ため攻撃のモーションが違うので、これだけでもかなり楽しめます。さらにSEKIROでいう一文字や不死斬りのような必殺技もあります。

主人公は体幹が無くいくらでもガード可能ですが、敵の攻撃にガード不能が多いので防御・受け流しの極意(弾き)・回避をうまく使いこなす必要があります。強敵相手はかなり緊張感ある戦闘が楽しめますよ。

回生 = 鉄の意思

GoTでは体力がゼロになると、主人公がダウンします。

初期はこの状態で死亡確定なのですが、スキル「鉄の意思」を取得すると復活が可能になります。使用条件は下記の通りです。

  • ダウン後、死亡が確定する前
  • 「鉄の意思」発動に必要な気力が残っている

主人公の死亡が確定する条件は2種類あります。ダウン後に一定時間が経過するか、敵にとどめを刺されることです。

必要な気力の量は選択した難易度で変わります。気力は体力の回復やアクティブスキルを使うことでも消費されますし、鉄の意思で復活した場合、特定の装備をしていなければ一撃でまたダウンする体力です。

復活できるとはいえ追い詰められていることには変わりないという、なかなか見事なゲームバランスです。

回生と違って、気力が無ければ初ダウンでも死亡確定ですし、気力があれば連続でダウンしても復活できます。

義手忍具 = 兵具・暗具

左手でくないを投げる仁
左手でくないを投げる仁

SEKIROでは、使うかどうかで難易度が大きく変わる義手忍具。GoTにも様々なサブウェポンが登場します。SEKIROでも特に愛用者の多い爆竹もありますよ!ひるませる効果はなく、敵をおびき寄せるものですけどね。

「くない」を投げつけて複数人数にダメージ+よろめき状態にしたり、「てつはう」を投げて範囲内の敵を吹き飛ばしたりできます。他にも「煙幕」で敵の視界をさえぎる、「鈴」や「爆竹」で敵をおびき寄せるといったものがあります。

「てつはう」は史実にもあるモンゴル帝国兵が使用して日本の武士を苦しめた、小型の手投げ爆弾です。歴史の授業で習ったことがある方もいるのではないでしょうか。

義手忍具との大きな違いは、兵具が単発でも敵多数を壊滅寸前に追い込めるほど高い効果がある点です。兵具を使いこなせば敵10人に囲まれても余裕で切り抜けられるほどには強力です。

鬼仏転送 = (地図上で)移動

ファストトラベル(鬼仏転送)
ファストトラベル(鬼仏転送)

GoTでは地図上のファストトラベル、SEKIROでいう鬼仏転送ができます。

GoTの舞台は対馬だけですが、1つの島の中をまるごと自由に移動できるのでめちゃくちゃ広いです。疲れ知らずの馬に乗って移動できますが、それでも普通に移動するとものすごく時間がかかってしまいます。しかし、1度訪れた主要な場所にはファストトラベルができるので、広い範囲を何度も行き来するならファストトラベルを使うのが基本です。

GoTはロードがかなり早いので、ほとんどストレスなくファストトラベルができます。

鉤縄アクション

SEKIROの鉤縄アクションは自由自在な移動や戦闘中の重要なシステムでした。

GoTでは戦闘中に使うことはありませんが、ストーリー攻略や強力なアイテムを入手するための移動手段として無くてはならないアイテムです。

鉤縄を木にひっかけてぶら下がり、反動をつけて向こう岸へわたる。

鍵縄を使った移動
鍵縄を使った移動

高い木にひっかけて登る。

鉤縄を使った崖上り
鉤縄を使った崖上り

SEKIROのようなスピーディーさはありませんが、全体的に動きがリアルなGoTでの鉤縄アクションは仁の超人っぷりを感じます。

場所によっては超高所からの落下中に鉤縄をひっかけて、ノーダメージで飛び降りることもできます。

SEKIROと違うところ

回復

体力の回復には「気力」を消費します。

気力は敵を倒したり「受け流しの極意(弾き)」が成功したりすると上昇し、体力の回復以外にも技の発動にも消費されます。

傷薬瓢箪や丸薬といった消費タイプの回復アイテムが一切ないので、気力管理が重要です。

敵は人間

敵として登場するのは、ほとんどが人間です。

野生のクマや敵兵の犬・鷹が出ることもありますが、獅子猿や火牛のような強敵・ボスポジションで登場することはありません。

攻撃キャンセルが可能

一部の攻撃は、攻撃中にもガードや回避へ移行することができます。

このおかげで、SEKIROでもよくある「攻撃しすぎて弾き・ガードができずに死んだ!」という事態が少し起きにくくなります。

敵に囲まれてもなんとかなる

多勢を返り討ちにするのは難しくない
多勢を返り討ちにするのは難しくない

SEKIROと比べると、大人数に囲まれてもなんとかなります。逃げずに戦い続ける場合でも、複数の敵が同時に攻撃をしかけて来る確率は低めです。

まず「体幹」がないので基本的に連続ガード可能です、背中は無理ですが。

「ガード不能攻撃の回避」はステップだけなので、SEKIROの突き・下段・掴みをとっさに判断するより簡単です。

GoTの兵具(SRKIROでいう義手忍具)が強力なので、「煙幕」で敵の目をくらませて逃走するか目の前から闇討することもできて、「くない」ダメージを与えつつ追撃で敵を仕留めたり、「てつはう」で敵を吹き飛ばしたりできます。

難易度が低すぎないか?と感じる方も大丈夫。「難易度:普通」はSEKIROより簡単ですが、「難易度:難しい」なら死にゲーを楽しめます。条件を満たすと、さらに難しいやり込みモードも解放されますよ。

連続闇討ち

SEKIROでは1人を忍殺するともう一人が後ろを向いていても音が気がつき、振り返ってしまいます。

GoTでは見られなければ気づかれずに一人一人消すことができます。それだけではなく、スキルを取得することで近距離の2人、3人と連続で闇討ちができるようになり、1人目の闇討ちで他の2人に見られても3人の連続闇討ちが間に合います。これによって、敵が複数固まっている場合でも、安全に3人を消すことができるので、敵が3人なら戦うことなく、4人なら飛び込んでも1対1に持ち込むことができます。

主人公は透視可能

「耳澄まし」システムによって、壁の向こうに敵がいても場所とシルエットがわかります。よくよく観察すればどちらを向いているかがわかるため、壁の向こうの敵の背後から回り込むことが簡単にできます。

距離があると壁の向こうにいるのか手前にいるのかわかりにくくなりますが、耳澄ましと通常を使い分ければすぐにわかります。

スキル「地獄耳」を習得すると、より遠くの敵を透視することができるようになり、敵からほぼ認識されない距離で敵配置を把握することができます。

まとめ

GoTの主人公はSEKIROと違い、忍びではなく武士でした。

しかし武士の誉れでは民の命を守れないと理解し、闇討や敵の兵器を利用する冥人(くろうど)として「自分の信じる正しさのために、武士としての正しさを捨てる」という選択をします。

そもそもGoTに忍者は登場しませんが、仁は一騎討ちや真剣勝負を挑む武士でもあり、手段を選ばない忍者のような戦法もとるハイブリッドな存在です。

隠密からの忍殺や、義手忍具を使った戦略、類稀な強者との真剣勝負などSEKIROと共通した魅力もあるGoT。腕に覚えのある方は、この新たな舞台で弾き・忍具・忍殺を駆使して残忍な蒙古から対馬の民をお守りください。

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