なぜネガティブな人が助けを求めず「死なせて欲しい」と言うのか

雑記

精神的に追い詰められて限界が近い人や、ネガティブな性格の人の中には「死なせて欲しい」「安楽死させて欲しい」という人がいます。

死なせて欲しいと言い始める前にSOSを出していた人もいれば、初めて口にする弱音が安楽死させて欲しいという内容である場合など状況もさまざまです。

死にたいと考えている人は何らかの悩みを抱えているものですが、なぜその内容の相談をせずに死なせて欲しいのでしょうか。当事者でもある当事者でもある私自身の正直な考えも交えて解説します。

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「安楽死させて欲しい」とは

日本で一般的に言われる「安楽死」という言葉は、治る見込みがなく苦しみを伴う難病を患う人を、苦しみのない方法で死なせることを指します。しかし難病ではない方の言う「安楽死」で終わらせたい苦しみは、多くの場合において肉体的な苦痛ではなく、生きている限り生涯味わい続ける精神的な苦痛です。

そして、これ以上苦しみたく無いという願いから「苦しまないように死なせて欲しい」と言う意味で「安楽死」と言う言葉を使います。

なぜ他の内容で助けを求めないのか

精神的な苦痛を理由に死なせて欲しいと言う人は、特定の性質を持つことが多くあります。

  • 深く物事を考えすぎる
  • 精神的に追い詰められて、視野が狭くなっている
  • 自分が悪いと思っている
  • 人への頼り方や甘え方を知らない
  • 悩み自体が「みっともない内容」だと思っている
  • 自分には無理だと既にわかっている

どう言うことか、個別に見ていきましょう。

1. 深く物事を考えすぎる

ある程度物事について考えることは必要かもしれませんが、考えすぎると何も行動できなくなり、状況が悪くなるばかりで解決しないことがあります。「案ずるより産むが易し(心配するよりもやってみた方がうまくいくことが多い)」という言葉もあるように、考えすぎが良くないことははるか昔の人々も痛感していることです。

考えすぎると「これはこうだからダメだ」「あれはこうだからイヤだ」と、解決の可能性がある行動のやらない理由ばかりが見つかり、手詰まりであるように感じてしまうのです。

2. 精神的に追い詰められて、視野が狭くなっている

人は追い詰められると、別の選択肢があったとしても見つけられなかったり、それを選択することができないと思い込んでしまうことがあります。

  • 会社でパワハラに遭っているのに、収入のために辞めることは考えられない
  • DVを受けているのに離れることができない

どちらも離れるためにはエネルギーが必要なことですが、追い詰められているためにそのエネルギーが無かったり、離れるともっと悪い状況になると信じ込んでしまっています。

しかし、どちらも失業手当と就職支援やDV被害者支援制度など、少なくとも相手から理不尽な暴力を受け続けたり殺されかねない状況より改善する可能性は高くても、そうなるとは全く考えられないのです。

3. 自分が悪いと思っている

こちらもパワハラやDVの被害者が陥りやすいパターンで、加害者の「お前が悪い」や「本当はこんなことをしたくないんだ、ごめんな」という言葉を信じ込んでしまい、「自分が悪いのに周りに助けを求めるなんておかしい・恥ずかしいことだ」「これは自分への罰なんだ」「自分はこの扱いを受けて当然なんだ」と自分を責めるようになり、加害者からの攻撃がなくなったとしても自分が悪いところを直せるとは思えないし(実際に直せ無いかどうかは関係がなく思い込むことがある他、実際は被害者に非がないことも多い)、別の場所に変わったとしても同じことが起きると思い込んでしまう。

パワハラを受けている人が「こんなことは社会では当たり前だ」「どこの会社に行っても同じだ」と言われ、それを信じてしまうのも、その典型的なパターンです。

4. 人への頼り方や甘え方を知らない

うまく人に頼ったり甘えたりできない人は、死ぬしか無いと追い詰められるまでSOSを出せなかったり、下手な頼り方や甘え方をして拒絶された過去があり人を頼ってはいけないと思い込んでいることがあります。

それでも自分ではどうしようもなく、自分で自分を殺すこともできない苦しみの末に出したあまりに不器用なSOS(人によっては最初で最後のSOS)が「死なせて欲しい」なのです。

5. 悩み自体が「みっともない内容」だと思っている

実際にどうであるかはともかく、自分が抱えている悩みや問題が客観的に見てみっともないことであるから人に相談できない、相談しても解決できないと考えている場合があります。具体的な「みっともない内容」と本人が抱える悩みの例は下記のようなものです。

働きたくない

楽して稼ぎたい、大変な仕事はしたくないけど高級なものが欲しい、いい暮らしがしたい

  • 痩せたいけど運動したくない
  • 痩せたいけど太りやすいもの(甘いものや油の多いもの)をたくさん食べたい
  • 客観的に見て相手(親、兄弟姉妹、友人など)は悪くないし悪いのは自分なのに、相手にムカついている
  • 自分の嫌いなものが社会的流行で辛い
  • 自分の差別的思考が原因でイライラしている、他

相談しても「お前が悪い」「○○すればいいじゃん」と言われて終わってしまいそうな内容です。時には相談した自分が責められてしまうことが簡単に想像できてしまうでしょう。

まだダイエット系の悩みであれば多くの人が抱えていることもあり、本当からウソまでさまざまな解決策が提供されていますが他の悩みは特に相談しにくいでしょう。時には人格否定される可能性もあります。

「働きたくない」なんていう悩みなら、「こんな楽な仕事があるよ」「これだったらできるんじゃない?」と言った提案をもらえるかもしれませんが、それらすら「やりたくない」と言えば見放されるかもしれませんし、責められるかもしれません。(見捨てられ不安

「楽な仕事すらしたくない」となれば、価値観が変わらない限り解決する見込みもないでしょう。また、ありもしない儲け話で騙そうとする人が出てくる可能性もあります。「頑張れない」のような悩みもありふれたものですが、どの解決方法も自分ではできなさそうなことばかりなあります。

「みっともない悩みは相談しても解決せず、むしろ自分が責められる」というのは、少なくとも本人の中で確信に近いものがあるのです。

6. 自分には無理だと既にわかっている

誰かの助けによって目の前の問題が解決したとしても、根本的な解決が望めないことが本人には既にわかっている、ということがあります。これは思い込みの場合もありますし、事実である場合もあります。

「みっともない悩み」の例にもあった「働きたくない」というケースであれば、その理由で働かずに済む方法はほぼないでしょう。生活保護などの制度もありますが、働けない人のための救済措置であって、働きたくない人へのものではありません。

意思に関係なく収入がない人が受給できるシステムであると言う考え方もあるようですが、財源が限られている以上は『働きたくない働ける人』を認めることはできないのが現実でしょうし、それらが無制限に認められていけば財源が無くなり破綻すると考えられます。

本人が考える「無理」の理由が「働きたくない」ではなく「働けない」だったとしても、重い障害などが無ければ働かずに生活保護のようなセーフティーネットは適用されません。障害があったとしても、障害者枠で働けるなら適用対象外となることがほとんどでしょう。

性格的なものや、障害がないのに能力が足りないと言ったものは認められないなど、「生きている限り働かなければいけないし、自分には働けない。誰かが一時的にサポートしてくれたとしても、最終的には自分が一生頑張らなければならないことは変わらないし、頑張れない。」と自覚していることがあります。

とても恵まれた環境ならなんとかなるかもしれませんが、そんな環境は無い。じゃあ死ぬしか無い、と言う思考パターンです。

自己評価が下がり、ますます行動できなくなります。

解決策はあるのか

これらの問題を解決するのはかなりむずかしいと言うのが現実だと思います。

多くの場合、自力ではなく誰かの助けが必要となるでしょう。しかし人にうまく助けを求められない人に多いため、悪循環に陥ることもあります。プロのカウンセラーに相談し、合わないようなら自分に合うカウンセラーが見つかるまで行動し続ける必要があるかもしれません。

認知の歪みが原因であれば、認知行動療法も一定の効果があると言われています。

まとめ

助けの求め方がうまくない人へは批判もあり、さらに助けを求めることができなくなると言う可能性があります。しかし死なせて欲しいと周りに言うのであれば、それはある意味で「今の状況を改善したい」気持ちがあり、しかし無理だという絶望や諦めの方が強く、もはや「改善したいとすら思えない」と本人が信じ切っていることもあります。すでに頑張ることがむずかしい状態であったり、もともと「無理はできても頑張れない」性質の場合も。

日本では安楽死が合法化されておらず、世界的に見ても精神的な苦痛を理由にした安楽死が認められるところはほとんどありません。

改善を求める場合はプロのカウンセラーを頼ったり、認知行動療法を試してみたりするなど、行動をしていくことも大切です。すでに心身ともに疲弊している状態の場合は休息もしながら、できることをしましょう。

「できること」のハードルは「とりあえずカウンセラーへの連絡方法を調べてみるだけ」など、低いものから始めていくことで「どうせできない」と言う無気力感から逃れられる可能性も出てきます。

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