映画、アニメ、ゲーム、漫画の感想を口にする時、よく出るのは「ストーリーが良い」「BGMが良い」「キャラが良い」といった内容だ
この感想は非常に多く出てしまうので、どうしてもチープに感じられてしまうかもしれない
しかし、やはりこうした感想が出る作品はストーリーやキャラがいいのだ
感想が出る条件
何かを見て感想を抱く時、たいていそれは「良い」か「悪いか」だ
耐えられないほど不愉快な場合は「最悪」「ひどすぎて見てられない」といった感想になる
期待を超えたり感動したりすれば「すごい」「めちゃくちゃ良い」と思わず言ってしまう
性格や程度によっては誰かに言いたくて我慢できない場合もある
しかし悪くも残念でもなく、良くも素晴らしくもない、普通やあまりに自然なものであればそもそも感想が出ない
ある意味では他の要素だけに意識を向けられる良いバランスなのかもしれない、BGMなら正にバックグラウンドミュージックと言えるかも
私の具体例
ニーアオートマタ
私の好きなゲームの1つがニーアオートマタだが、これを例にしてみよう
ニーアオートマタを語るなら、設定、音楽、キャラが良いと真っ先に言いたくなる
設定の魅力はキャッチコピー「命もないのに、殺し合う」や「これは呪いか、それとも罰か」(記憶で書いているため正確ではない)からもわかるダークさで、ニーアは皮肉でできていると言って過言ではない
このゲームでは人間について強い興味を持つ機械が、人間特有の死を理解するために無意味な死のリスクを冒したり、人間なんてどうでもいいと考える機械が兄を失って激昂したりする
人間を知りたいキャラが人間らしくない行動をし、人間に興味がないキャラが人間らしい
そんな皮肉すぎる設定が1つ2つ3つどころではなく、自分が差別し続けていた存在が自分のルーツだったなど、例を挙げればキリがない
そんな酷すぎる設定や展開と、白髪に黒づくめの衣装で黒い布の目隠し(のように見えるゴーグル)の見た目は古き厨二病心を刺激しまくってくれた
音楽は英語歌詞付きの壮大で儚く美しいもので、少しタイプは違うがダークソウルシリーズなどと似た雰囲気もあり、泣けるシーンや絶望的なシーンを大いに盛り上げてくれる
だから設定、音楽、キャラが良いと言わずにいられないのだ
しかし戦闘については、カメラが近すぎる上からアングルで普通ならかわせただろう攻撃を受けやすい場面が数箇所あり、感動や快適とは言い切れず「戦闘が楽しい」という感想は出ない。たっぷり3周エンディングを見てもう一周プレイするほど苦にならなかったのに、だ
良いものは良い、悪いものは悪い、ちょっとだけ良いものはわざわざ言わない
ニーアオートマタ、ダークソウル、ファイナルファンタジー15は大いにはまったゲームで、戦闘も楽しんだにも関わらず、私からは「戦闘が良くて」という感想は出ない
多分、戦闘がめちゃくちゃ楽しいと感じるプレイヤーも結構いるとは思うゲームではあるはずだ
しかし私には「やや楽しい」くらいで、感動には至らなかったためそれほど記憶に強く残ったわけではなかった
じゃあ戦闘が楽しかったゲームは?と言えば圧倒的にSEKIRO
私はダークソウルでパリィも安定しないゲーム下手だが、SEKIROの確実に攻略ができるようになっていく成長感と、弾きやガード時、忍殺時のSEが気持ちいい
SEはいくらでも聞きたくなる気持ちよさがあったし、弾きが成功する気持ち良さと強敵にとどめを刺したときの達成感と戦闘が終わってしまう切なさは筆舌にし難い
キャラクターは敵も味方も自分の信念で戦っているものが多く、敵ながら天晴れと言いたくなるキャラばかりで「キャラクターがいい」という感想も出る
しかしBGMも好きだったはずなのに、プレイから時間が空いて感想が求められた時にBGMが良くて、という感想は出ない
好きにしろ嫌いにしろ、記憶に残るほど衝撃を受ける、というのは感想が出る上で必須条件かもしれない
悪い例に関するあれこれ
好きなものを「感想が出ない」という例に出されただけでイラッと来た人がいるかもしれない。私は実際になりやすい
ので、悪かったという感想になる具体例はやめておこう
期待を裏切られたように感じたり、その要素のせいで楽しい部分が台無しになったりすると悪かったという感想になりやすい
映画やゲーム以外でも言えることだが、期待しすぎて勝手に裏切られた気になって不機嫌になるというのは誰も得しない流れだろう
私は良くないと知りつつその思考の癖を止められないのだが、理屈ではわかる
あなたの周りに「あれが最悪だった!」と言ってばかりの人がいたら、よく何かに期待しすぎてしまう人なのかもしれない
そういう人ほど期待を上回られると熱狂的なファンになることがあり、実際に腕のいいサポートセンターの職員がクレーマーをファンに変えるシーンは何度も目撃した
ただ、まあ、期待値が上がり続けて最終的に期待を裏切られ逆恨みする可能性もあるので、個人的な付き合いは考えたほうがいいかもしれない
まとめ
良いという感想が出るのは、やはり一定以上に良いと感じたものに限られやすい
チープな表現に感じられるとしても、やはりそうした感想が出るものは良いものなのだ
一方、良質な娯楽が溢れている現代ではちょっと良い程度のものはわざわざ良いとは言われにくい
そして悪いという感想が出る場合、期待を裏切られたり、良いものの邪魔になるほど悪かったりと、許容範囲を超えたのだろう
そしてその許容範囲がとても狭い人というのもいる、特定の分野では広いが、その分野では狭いなんてパターンも考えられる
いろんな趣味の人間がいるが、友人でもネットの名の知らぬ人でも、自分が良いと思ったものと同じものを絶賛している人がいたら、その人が好きなものを見てみると好みの作品を見つけられるかもしれない