ヘブバンのシステムは「ゲームだから」じゃない。
ネタバレあり。
【君を忘れても 僕は連れてくよ】
これ、ずっと意味がわからなかった。
「君 ”が” 忘れても 僕 “が” 連れてくよ」ならわかる。
「誰かが記憶を失っても自分は君を見捨てない、道がわからなくなったら手を引いてあげる」と解釈できるから。
でも、【君を忘れても】だと自分が忘れてる。
相手が忘れているのなら、それでも思い出の場所や新しい場所へ連れて行ってあげると解釈できるが、でも、【君を忘れても】だと自分が忘れてる。
しかも、自分は忘れているのに、それでもどこかに連れていく。これは意味がわからない。
そして【僕は連れてくよ】だと、「自分を連れていく」と言う意味にも解釈できるのだ。
ふと、ヘブバンの世界について考えていることが「これはこの歌詞の通りだったんだ」と突然結びついて泣いた。
忘れている。
ずっと考えていたことなんだけど
「月歌は全てを忘れている」んだと思う。
そして、これは記憶を取り戻す旅。
ガチャすらもストーリーの一部
チュートリアルガチャは樋口聖華が引かせてくれた。
この時にけっこう気になることを言い続ける。
「…お前はすでに会ったことがあるやつも居るだろう。
…意識の根底に眠っているだけ。
…さあ、思い出せ。」
仲間のA,S,SSのスタイルは、出会ったり取得するものじゃなく「思い出すもの」なんだ。
月歌はすでに、Aスタイルの仲間やSSスタイルの仲間のことも知っているけど忘れてる。
AとSSの戦力差で考えてるのは3パターン
スタイルは「月歌がその仲間のことをどう思い出したか」で変わる。私はパターン3がイチオシ。
パターン1
月歌が出会った頃はAスタイルだったんだけど、戦いを重ねることで強くなってSSスタイルまでに成長していった。
戦いかたも1パターンじゃなく戦況や相手によって変えたり、あるいは文字通り「戦闘スタイル」を変えたりした仲間もいる。
それが同じレアリティでも複数のスタイルを持つ仲間がいる理由。
パターン2
最初からSSスタイルで強かったけど、月歌がその強さを知るまではAスタイルくらいの闘いかたしか見えなかったし知らなかった。
パターン3
月歌がどれだけ深く思い出せたか。これが一番しっくりくる理由。
月歌が記憶を取り戻すのは容易なことじゃないので、かすかに思い出すことしかできないのでAスタイル程度の強さになりやすい。
きちんとその仲間を思い出せるほど、その強さはSSスタイルになる。ただ、そこまで記憶を取り戻せる可能性はAスタイルより遥かに低い。
ガチャの排出率までストーリーの一部。面白い。
原作の人そこまで考えてないかもしれない要素
Day3クリアだったかで茅森月歌SS「閃光のサーキットバースト」をもらえる。
これは月歌が、月歌自身のことを思い出しやすかったからとも考えられると思った。
でも、プレイ特典までストーリーと絡めてるかは流石に考え過ぎかもしれないとも思う。月歌である理由も「主人公だから」程度なのかもしれない。
「自分のことの方が思い出しやすいから」だったら、普段のガチャの排出率から月歌だけ高くてもいい。
でも月歌が誰を思い出そうとしているかでピックアップが起きてもおかしくないし、自分のことだってSSを一つ思い出したら他のスタイルも全て思い出すのはちょっと難しいかもしれない。
それでもここまで作り込まれたヘブバンだから、その意味が込められた可能性はゼロじゃないと思っちゃう。
失われた記憶
月歌は仲間たちのことや、軍に入ってからのこともなんらかの理由で忘れてしまっている。
未来で重傷を負ったのかもしれない。
記憶のブレ
これも、原作の人そこまで考えてないと思う要素かもしれないことなんだけど。
ストーリーではギャルゲやサウンドノベルゲームみたいに選択肢が出て、フルボイスでセリフが変わる。
午前に選んだものが、夕方のセリフにまで影響することまである。(これ言うの2回目だからな!的なやつ)
でも過去の記憶だったとしたらパターンがあるのは変。
これは「ゲームだから」かもしれないし、「さすがにそこまで細かく覚えてなくて、記憶のブレがある」のかもしれない。
そう言う点で、もしかしたら選択肢がない部分も月歌フィルターで事実と違いが出ているかも。
物語のほとんどは、月歌の主観視点で展開する
物語はほとんど全部が月歌が見て聞いたものばかり。
作風によっては、月歌がいないところで仲間だけで話し合ってるシーンや、仲間が胸の内でだけ思ったことがもっと描かれてもいいと思う。
全てにはあてはまらない
イベント「優しさと愛しさと心強さと」
エンディングは、月歌が見てないシーンと記憶が描かれた。私が知る限りはこれが初。
客観的に考えるとこじつけに思えちゃうことなんだけど、「あとから月歌にマリが説明してくれて月歌が脳内補完した」っていう説を個人的には信じられる。
見てなかったシーン
さすがに細かい部分だけどめぐみの初サイキックお披露目であるコップの水を浮かせるシーン。
月歌はからかうために見てないふりをしてただけでしっかり見ていたのかもしれない。
これも脳内補完しただけかもしれないし、ゲームだからかもしれない。
個人的には、月歌が印象に残った出来事ほど一枚絵や専用モーション・演出(例:バンド演奏)が入ると考えたい。楽しい。
別の未来
スマホゲームとしてはめずらしいと思うんだけど、ヘブバンには選択肢やバトルの勝敗でBAD ENDがある。
これは「もしこうしていたら、こうなってしまっていた」というイメージによる補完ができてしまう範囲に私は感じてる。
あるいは、イメージではなく本当にそんな過去だったらこうなる、というあまりに正確なシミュレーションなのかもしれない。
【君を忘れても 僕を連れてくよ】
君(仲間、あるいは特に好きな人)を忘れているのは月歌。
そして、覚えている僕(月歌。そして記憶自体のこと)を月歌自身が現実まで連れ戻そうとしている。
そのために、未来の月歌は仲間との記憶を追体験して取り戻すべく、この世界に精神を置いてる。
仲間、あるいは特に好きな人
仲間全体を指してるのかなーと思うんだけど、「君」と単数系なので「特定の好きな人」の元に、しっかりと記憶を持った自分を連れていきたいのかもしれない。
占い師の桜庭星羅との絆エピソードで、月歌は「この先、好きなひとが出来ます。」と占われた。
星羅の占いは的中率53%という、一見すると微妙な確率。
でも、例えば勝負で勝つか負けるかを占うとしたら勝ち・負け・引き分け(無効)といった3パターンしかないので「当たらんのかい」ってなる。
でも1000の抽選の中から533をピンポイントで指定して、本来なら1000分の1(0.1%)のものを当てる確率が53%だったらすごいじゃないですか。
この軍にスカウトされたくらいなので、星羅は53%も当たる凄い占い師。「好きな人ができるかできないか」を単純に半々だとしたら、外さないと思う。
好きな人は誰か
KEY作品と考えればギャルゲ的にプレイヤーがヒロインの誰かを攻略する形なんだろうけど、ヘブバンは多分ギャルゲではないので、やたらと正妻感のあるユッキーのことかなぁ。
「最高のパートナーでいる」とか「生きて帰ったら結婚するか」みたいな会話もそこそこの頻度で出てくる。
結婚に関してはもちろん死地に赴く兵士としての軽口の一種でもあるんだけど、私のイメージだと月歌は告白に関して「OKされたら困る」相手にはしない。
だから「結婚したいと思ってるわけでなく本気の告白でもないけど、気持ちに嘘はないやりとり」かなって思う。
ユッキーに「この戦いが終わったら結婚するか。」のやりとりで、月歌の声が明るさを取り戻し「ううん、サイコー」という場面。
ここのボイス、落ちていた気持ちを持ち直したようにも聞こえるし、本当に嬉しそうにも聞こえる。
そこに恋愛感情が入るかどうかはさすがにまだまだわからない。
追記:3章あたりでユッキーに「好き」というトーンがいつになくマジっぽい。
同性好きは多分少なくない
セラフ部隊は女性しかいないけど、お互いが恋愛対象になれるとしたら吊橋効果で好きになる人たくさんいそう。先遣隊の「A」なんてなおさら。
指揮者の詩紀さんはハーレムつくろうとしていて、女子にキャーキャー言われてる。私は彼女の言う夢に性的なニュアンスがしっかりあるように感じた。
女性だけの世界
男子校と女子校は同性が恋愛対象な人が割といると、男子校・女子校出身者が言ってるのを聞くことがあるし、特に真偽を疑う理由もない。
もともとは異性愛者でも、同性しかいない世界かつ恋愛感情がある人間なら後天的に…という表現が適切かわからないけど同性が恋愛対象に変わることもあると思う。
私の好きな配信者の一人は女子校出身で、あまりに女性ばかりの世界で暮らしていたので現実で男性と久々に遭遇した時「この世に男っているんだ」とわかっているのに驚いたらしい。
セラフ部隊は兵士だけじゃなく、シェフたちもスタッフも司令官も全員女性っぽいし、頭で知っててもそれと同じ状態になるのは普通だと思う。
世界に男はいるらしい
もしかしたら男滅んでるんじゃね?とも思ってましたが、セラフ部隊が接触禁止のドームの中にはちゃんと男性もいる模様。
世界中継された月歌たちのライブを大絶賛するドームの住人のシルエットには男性っぽいシルエットがあるし、ちょっと記憶曖昧なんだけど男性のボイスがあった気がする。(記憶違いかもしれない。)
私がドームの住人だったら、キャンサーを倒しまくってくれて音楽という娯楽まで与えてくれる月歌がこの世で一番死んでほしくない人になりそう。
マジで「あたしの伝説はこれから始まる」、始まってるよ。
その手助けをしてくれてるのが樋口聖華
「知ってるはずだ」と言いながら「未来は見えたか?」は矛盾する。
未来からこの記憶に戻った月歌だということを、聖華が知った上でのセリフだと考えたらしっくりくる。
この世界に送り届けてくれたのは、天才・樋口聖華の技術であり、さらにガチャと言う形式で月歌が失っている仲間の記憶を取り戻させてくれてる。
この記憶の世界にいながら、聖華だけは現実の知識を有してるのかもしれない。
でも性格的に直接教えたりはしないと思う。
- 月歌が自分で思い出さないと意味がない
- 言葉で伝えても意味がない(それなら現実でできる)
- 思い出さなかったらそれはそれで面白い
上記のいずれか、あるいは複数、全て。
樋口は命懸けの作戦で「死んだら死んだで、死について知れる」といったような価値観を持ってる。
だからこれも月歌が記憶を取り戻せるか取り戻せないかの実験でしかないのかも。
とは言っても未来の樋口はなんだかんだで月歌を気に入っていて、記憶を取り戻させてやろうという気持ちが結構強いというパターンだったら感動する。
まとめ
- ヘブンバーンズレッドは、月歌が記憶を取り戻す旅
- 好きな人を忘れてしまっても、記憶をなぞり返して君を好きだった僕を君の元へ連れていく
- 好きな人はユッキー?
- 樋口聖華が謎の技術で月歌の記憶を再体験させてくれている
- ガチャすらストーリーの一部
プレイして泣き、ゲーム配信を見て泣き、ファイナルトレーラーを見て泣き、考察しながら思い出し泣きしてます。
こんな頻度で泣いたの久しぶりだー!
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