ウマ娘のライスシャワーのモデルとなった競走馬のライスシャワーは、悲劇の馬として語られることが多いように思う
「ライスシャワーの勝利」ではなくミホノブルボンやメジロマックイーンの三冠を阻止した「黒い刺客」と呼ばれて競馬場が異様な雰囲気になったことや、その後にレース中の事故で亡くなったためだろう
★3[ローゼスドリーム]ライスシャワー
別衣装バージョンが登場すると[ローゼスドリーム]部分が異なるライスシャワーになると思われるため、この衣装限定と思われる要素には[ローゼスドリーム]ライスシャワーと表記している
ストーリー
ライスシャワーはウマ娘の世界で自分や自分の近くにいる人はとにかく赤信号に捕まる、友達が鳥のフンを落とされる、皆が楽しみにしていたイベント当日にライスが来た途端大雨が降るなどの不幸が起きやすい
それらは全て自分のせいだと考えて「ライスは皆を不幸にする」と責め、誰も幸せにできないと分かってしまうのが怖くてレースにも出られずにいた
そんなライスシャワーには大好きな絵本がある
皆からダメなやつだと言われていてた青いバラがお兄様(お姉様)と出会い、彼(彼女)から励まされることで皆を幸せにする花として咲き誇るストーリーだ
そしてウマ娘のライスシャワーも、絵本に出てくるお兄様(お姉様)のようなトレーナーと出会い、勇気と努力でレースに勝利し成長を遂げていく
そんな[ローゼスドリーム]ライスシャワーの固有スキルは「ブルーローズチェイサー」だ
固有スキル「ブルーローズチェイサー」と「青いバラ」
直訳するなら「青いバラの追跡者」
この「青いバラ」というのはライスシャワーが好きな絵本に登場する主人公であり、[ローゼスドリーム]ライスシャワーの勝負服にもあしらわれている
実はこの「青いバラ」というのは過去に「不可能の象徴」であり、不可能の花言葉を持っていた
薔薇を含めた観賞用の花は交配や遺伝子操作で様々な色を持つことができる
チューリップなども多彩で、バラも赤や黄色、白などはすでに存在していたが青いバラは生み出すことができなかったのだ
しかしその「不可能の青いバラ」は2004年に遺伝子組み換え技術によって実現したと発表され、実現できない「不可能」の象徴から「夢が叶う」という花言葉へと変化した
悲しいことに競走馬のライスシャワーが亡くなったのは1995年であり、青いバラが誕生したのは2004年だった
ウマ娘のライスシャワー
URAシナリオ
ウマ娘の世界ではライスシャワーの祖父であるマルゼンスキーや、執筆時点で存命中のエイシンフラッシュや、現役馬のメイケイエールが立候補したなんていう話もある
ウマ娘の世界では世代や時代を超えた競争バが同じステージに立てるのだ
モデルとなったライスの時代では「不可能」だった青いバラは、ウマ娘のライスがいる世界では「夢が叶う」象徴である
[ローゼスドリーム]ライスシャワーがレースでミホノブルボンに勝利した時、ファンの反応は暖かいものだった
誰かの勝利を邪魔したウマ娘ではなく、ライスが勝ったという事実を見てくれている
ウマ娘のライスシャワーは刺客ではなく、全てのウマ娘と同じく1位とセンターを目指して全力を尽くす対等な一人のアスリートでいられたのだ
メインストーリーやアニメは史実に近い
URAシナリオで[ローゼスドリーム]ライスシャワーを育成する限りは応援を受けられた
しかしメインストーリー第2章ではモデルの史実のようにミホノブルボンとメジロマックイーンの三冠を阻止し、勝利を喜ばれなかった
三冠を夢見るファンの存在とその夢を壊した事実や、ウイニングライブで自分を応援する観客がいなかったことで走り続けることを諦めようとしたり涙を流したりするシーンが描かれている
しかし他ならぬミホノブルボンとメジロマックイーンらの言葉を受け、傷つきやすいにも関わらずブーイングを受け、低迷しながらも走ることをやめずに勝利を掴んだライスに観客もとうとう賞賛を送った
URAシナリオ以上に胸が痛くなる展開だが、それでもライスは夢を叶えるべく走り続けてくれる
ウマ娘全般に言えることだが、サービスが続く限り未来の可能性はこれからいくらでも生まれていく
まとめ
- ライスシャワーの不幸属性はモデル馬のエピソードから
- モデル馬が活躍していた時代の青いバラは「不可能」の象徴
- 現代の青いバラの花言葉は「夢が叶う」
ちなみにウマ娘の設定は「異世界の競走馬の名前と魂を受け継いで生まれてくる少女たち」
実在した「競走馬の擬人化」ではなく、実在した「競走馬をモチーフとしたキャラクター」と表現した方が適切だと私は思っている
現実では起こり得なかった「ifストーリー」や「たられば」があるのがゲームやアニメの魅力だ
ライスに三冠を阻止されたミホノブルボンで三冠を取ったり、ライスが三冠を取ったり、生涯で一勝もしなかったハルウララに無敗の称号を与えたりできる
昭和の競走馬でライスの祖父であるマルゼンスキーが一緒にトレセン学園へ通っているように、モデルとは違う時代を生きられるウマ娘の世界
元ネタに注目しつつ、しかし当時とは異なる意味をもつ青いバラのような視点は他のウマ娘でも見つけられるだろう
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