※この記事の内容はほとんどが自己解釈です。
「こんにちは、アストンマーチャンです。……よろしくね。」
なんてことない自己紹介。4話まで見たあとだと、この一言の破壊力がやばかった。
そこまで直接的な言葉はなかったと思いますが、アストンマーチャンは
『死んでも自分の存在が消えてなくならないよう、皆の記憶に自分の存在を刻みつけたい』ウマ娘。
『私が死んでも忘れないでください』という願いを持つウマ娘です。
メモ:史実馬アストンマーチャンは急性心不全により、志半ばで亡くなりました。 原因は明確でなく、時期は春。育成シナリオでは「春と仲良くない」として、医師でも原因が特定できない謎の不調にみまわれます。
「最重要ミッションなのです。一家に一体、アストンマーチャン。」
他のウマ娘のシナリオだと「GIレースに勝ちたい。」「日本ダービーで優勝したい」など、”勝つこと”が目標な娘が多いです。
しかしアストンマーチャンの目標は、世界中全ての人に届くスーパーウルトラマスコットになること。
「アストンマーチャンのマスコット」が世界に広まることで、たとえアストンマーチャンが消えても思い出してくれる人がいる。それが望みです。
自分のマスコットを作ってみたものの、これを配布する手段がない。
色々考えた末にアストンマーチャンが出した結論が「レースで走ること」でした。ウマ娘グッズ店でマスコットが売れまくってるのを見たからです。
小ネタ:アストンマーチャンは「自分のマスコットどころかグッズがない」と嘆きますが、まだデビュー戦が終わったばかりなので無理からぬこと。 ……なのですが、同期のはずのウオッカとダスカのグッズがマーチャンの右に……
「炎上商法です、(中略)……却下です。アクトウマーチャンと言われたくはありません。」
「マスコットになりたい。良い方法は?レースで走って勝つこと。」だったんです。「レースで勝ちたい。それでマスコットになったら嬉しい」じゃないんです。トレセン学園に入ったのもそれが目的。
手っ取り早く炎上商法を企んでみたり(却下済み)、ビジネスを学んでみようとしたり(実際に簿記などを学んでる)。
しかし前項のように、レースで活躍したウマ娘のグッズが売れているのを見て、自分ならレースで多くの人に自分の存在を刻みつけられると、レースの道を志しました。
模擬レースで落鉄(ウマ娘が足を守るためにつける蹄鉄がレース中に外れる)、なのに1着&レコードタイム(歴代新記録)を叩き出すという怪物ぶりを発揮。とんでもないウマ娘でした。
死生観
ホワホワさんの死
ある日、ホワホワさんと呼んでいたハトの死体を見つけます。
ダイワスカーレットは「あの子って、いつか急に手の届かないどこかへ言っちゃいそうな雰囲気があって」と心配な様子。
トレーナーが探しに行くと、ホワホワさんのお墓をつくり、お墓に話しかけるアストンマーチャンの姿が。
「悲しいのは忘れられること」
アストンマーチャンはホワホワさんが死んだことを悲しみません。
死を悲しむ人が多いのは知っているけれど、アストンマーチャンにとって悲しいことは「忘れられること。」
ホワホワさんのことはアストンマーチャンがしっかり覚えている。写真もたくさん撮ってある。マーチャンは一度会った相手を忘れない。
プチ考察:見分けがつかなそうな「白い鳩」の死体がホワホワさんだとすぐわかるのも、口だけでなく本当に「覚えている」という強さを感じます。
悲しいのは忘れられることなので、マーチャンが覚えている以上、ホワホワさんの死はマーチャンにとって悲しいことではない。悟り。
小ネタ:シンボリルドルフの「ヒミツ①」は『実は、一度見た相手の顔は忘れない。』 ルドルフは顔を忘れませんが、マーチャンは相手の存在を忘れなさそうなイメージ。 ちなみにアストンマーチャンのヒミツ①は、モノマネが得意だけどあまり見せてくれないこと。
全ての存在は海に還る。
アストンマーチャンがマスコットの流布を計画した時、背景は病院でした。
メモ:現実の馬主さんが医師だそうです。ウマ娘では「お母さんがお医者さん」
マーチャンは病院で命が流れるところをたくさん見てきたそうです。医師である母に「人は誰でもいつか流れて行ってしまう。それは悲しいことではない」と教えられました。
だからマーチャンは、悲しいことが死ではなく忘れられることだという価値観になったのです。
ホワホワさんの死を確認した時も「海へ行ったんですね」と声をかけていました。
トレーナーが駆け寄る場面の一文が最高すぎた
人波をかき分けて、青いターフへと向かっていた。
勝手な深読みの可能性もありますが、ウマ娘って無意味な要素のほうが少ないくらいに思っているのでこの一文も狙ってるんじゃないかと思いました。
人波をかき分けて、青いターフへと向かっていた。
波と青、私はどちらも海を連想するワードです。
ターフ(芝)を青と表現するのは普通だと思いますが、ゲーム中では見た目通り緑と表現することもあります。なのに、表現に青を選んだ。
単に「ターフへと向かっていた。」でもなく
「アストンマーチャンのもとへ向かっていた。」でもないんですよ。
わざわざ一文に、波と青を入れた。
これだけ海という重要ワードを繰り返してからの、海を思わせる場にいたアストンマーチャンへ向かっていくトレーナー。泣いた。
「こんにちは、アストンマーチャンです。……よろしくね。」
このセリフは、1話冒頭でも流れます。
「時はさかのぼること……」でストーリーが始まるんですが、4話ラストでそのシーンに追いつくのです。
「こんにちは、アストンマーチャンです。」
皆に忘れてほしくないウマ娘の、シンプルな自己紹介。
自分の名前を口にするだけで破壊力がすごかった……。
CV井上ほの花さんの演技がすごい。ふわふわしているように見えるのに、アストンマーチャンの深海みたいな内面の深さを感じてぞわぞわする。
ここで1.5周年ストーリーを見てみましょう
1.5th Anniversary 第2話 1.5周年記念② ~視線は譲らせない~より
トウカイテイオーが撮影のお仕事中。勝手にカメラに映り込むアストンマーチャン。
撮影3箇所目にしてやっと気づいたトウカイテイオーは驚愕。気づかれた時の距離激近。
ダイワスカーレットとウオッカは、マーチャンが迷惑かけないようにと連れて行こうとする。マーチャンは納得して従うようなリアクションを見せつつもまた映る。
「明日も明後日も、百年先も。あなたの心の隅っこに、アストンマーチャン。どうぞ、よろしくです。」
本編知ったあとだとこの言葉の深みもやばい………ッ
公式文
公式サイトには一人ひとり、セリフのような一文があります。
ここでもアストンマーチャンはブレず、なんてことのない一文に見える。
「アストンマーチャンです。アストンマーチャン。……ふふ~、覚えていてくださいね?」 ウマ娘プリティーダービー公式 キャラクター アストンマーチャンより。2022.10.11確認
アストンマーチャンの望みを知るだけで、こんな普通のセリフがどこまでも深く感じられる……惚れました。
育成イベントでは衝撃の展開
忘れられていくアストンマーチャン
アストンマーチャンはGIでも良い記録を残しているのに、取材されない、ブログのアクセス数が一桁になる、さらにはトレーナーにすら忘れられるという衝撃の展開になります。
このあり得ない展開は、他の人には見えないものが見え、心霊現象に見舞われ続けるマンハッタンカフェ以来。それ以上に衝撃を受ける信じられないものでした。
小ネタ?:ウマ娘のシナリオって、実装前の他の子も登場するじゃないですか。 マーチャンシナリオにダスカとウオッカは出るのに、ダスカたちのシナリオにマーチャンが登場しないんです。 ダスカとウオッカが勝つ世界線では、マーチャンの存在は消えていた………と考えると悲しく、切ない……… ※単純に、ウマ娘公開前アストンマーチャンの出演許可が得られてなかった可能性もあります。
海へ行くマーチャン。引き止めたトレーナー
トレーナーはぬいぐるみ(マスコット)をきっかけに唯一人アストンマーチャンを思いだし、海へ歩きだしていく(マーチャンの今までのセリフから考えると、死の運命を受け入れてしまおうとしていた)マーチャンを引き止めたのです。
誰よりも史実に引っ張られたマーチャンを止めたのは、ウマ娘世界のトレーナー(プレイヤー)という現実世界では存在しなかった人物。イレギュラー。
勝利ポーズがやばい
- トレーナーと反対方向へ歩いて行く
- 呼び止められたように振り返る
- 瞳をうるませほほえむ
まるで消えていくことを受け入れた時トレーナーに呼び止められたシーンの再現です。
私は過去に、映画のラストシーンでずっと画面奥へ去っていく描写は死へ向かう表現と聞いたことがあります。私の記憶では、勝利時にトレーナーから離れていくウマ娘はいません。
アストンマーチャンを育成している方は、ぜひこの説を意識して動きと表情の変化に注目してほしい……!!
ウマ娘でプレイヤーに刻まれる記憶
競走馬アストンマーチャンを知りませんでした。
ウマ娘って「夢」「記憶」「受け継ぐ」「背中を押す」っていう重要ワードがものすごく多いです。
そして史実馬だけでなく、馬主やファンの想いが混じり合い、ウマ娘とトレーナーが深く関わり初めて史実と異なる道を歩めるウマ娘となっているように感じます。
最たるものは「あの子がケガをしなかったり、生きてくれてくれたら」という願い。
アストンマーチャンが忘れられない存在となりました。
私は1プレイヤーに過ぎませんが、アストンマーチャンのことはずっと忘れないと思います。一時的に忘れても、ウマ娘関連や競馬情報に触れたら思い出すでしょう。
アストンマーチャンから出されたお仕事を果たしました。
「みなさんのお仕事は、アストンマーチャンをその目に焼きつけて帰ることです。よろしくぅ。」(育成イベント「阪神JFにむけて」内、アストンマーチャンのセリフ。)
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