根拠や情報として一部ネタバレが含まれますので、「25時、ナイトコードで。(ニーゴ)」のメインストーリーやサイドストーリーを閲覧してからご覧ください。
全員が揃うことでギリギリ成り立つ危ういバランス
ニーゴは誰か1人が欠けても崩壊するグループだと考えています。
- 奏がいないと誰も救われない
- まふゆがいないとセカイはない
- 瑞希がいないとバラバラになる
- 絵名がいないと進まない
奏がいないと誰も救われない
公式ページのメンバー相関図では、まふゆ達から見た奏という存在がわかります。
- まふゆ:すごい曲を作ってる
- 瑞希:ありのままを受け入れてくれた
- 絵名:自分の絵に存在価値をくれた
奏は「誰も救えてない」と言いますが、少なくとも曲で繋がった瑞希と絵名はかなり奏に救われています。
ただ、本人たちの問題やコンプレクスは解決されていないので「誰よりも消えたがってる」というニーゴメンバーの気持ちはまだ解消されていません。
まふゆ
まふゆはまだ救われていないので「感想」のような内容。
でも、普段は何を見ても何を聞いても何も感じず、味さえもわからなくなったまふゆが「すごい曲」と感じています。
実際に、まふゆが消えるのを一時的にとどめているのは奏の曲に少しだけ救われたような気がした経験から。まふゆが救われる可能性は、本当に奏の曲にしかないのかも。
それに、ストーリーではまだ救われていないものの「見つけてくれた」のも奏です。
瑞希
「ありのままを受けれいてくれた」というのは、瑞希にとって最も救われることだと思います。
瑞希は人一倍、自分が自分のままでいたくて貫いているけれど、それが周囲に受け入れられないと諦めかけている。
まだ私が見たストーリーの中ではカミングアウトされていませんが、私は瑞希の体の性別は男性だと思っています。
声、クラスメイトと瑞希の反応、体型、名前は男性でも女性でも違和感のないもので、本人は性別に関する発言をしていません。
プロセカ公式ページのプロフィールには性別が記載されていて、瑞希は「?」になっています。
可愛いもの好きと強いこだわりがあって、体と心の性別に違和感があるというよりファッションも可愛いものが好きだから可愛いものを着ている結果として女性的なファッションになっている、という印象。
体の性別が男性だったとしても、心の方がどちらなのかは本人がカミングアウトするかもっと情報が集まらないとなんとも言えません。ゲーム中ではずっとわからないかも。
絵名
絵名にとって奏は「自分の絵に存在価値をくれた」存在です。
絵名は自撮りやニーゴのイラストが評価されても、自分の描いた絵が自分の実力のみで評価されないと満たされないと感じているようです。
絵名の描く画家系のものとは違うでしょうけれど、私も絵を描くことがありますし才能もないので共感できる部分は多くあります。
絵名は自分の絵が評価されてもそれは自分の実力でなく、ニーゴの評価であると感じているため、ニーゴのイラストとしていくら評価をされても自分の価値には感じられないのです。
絵名はエゴサが趣味なので、実際に「ニーゴの絵だからいいけど、単体で見たら好きじゃない」などの書き込みを複数見つけてしまっています。
私で言えば、オリジナルで1週間かけて描いたとしても1時間で描いた版権二次創作に評価は劣るでしょう。
客観的に、あるいは理屈で考えると、版権であっても評価される絵とされない絵はあり、そこには実力の影響がたしかにあります。
しかし、版権が評価されてオリジナルが評価されないという事実は「評価されているのは自分ではなく版権人気」という考えを確信として心に刻みつけてしまうのです。
絵名も実際に、ニーゴの名前を出していないイラストアカウントは評価されず、5分で撮れる自撮りの方が評価される事実や、ニーゴのイラストだから良いというコメントを見つけてしまっています。
また、アートコンテストで入賞できなかったのも「ニーゴの力がなければ自分が見てもらえない、見てもらっても評価されない」という客観的事実です。
実際にはプロであろうと金メダリストであろうと「好きじゃない」「良いと思えない」という感想は実際にあります。
でも評価に飢えて自信がなければそうした感想が剥き出しの精神に直接突き刺さるような痛みに繋がります。
でも奏は絵名の絵が素敵で、ニーゴの曲を多くの人が聞いてくれるのも絵名の絵だからとお世辞や利用でなく、本心から言ってくれる。
これは筆を完全に折らないギリギリの線を保ってくれる救いになっていると思います。
まふゆがいないとセカイはない
まふゆは「ナチュラルに価値観を押し付ける母親(瑞希談)」の意思に合わせて自分の望みを全て無視してきた結果、自分を完全に見失い、自分を探すようになりました。
作曲もできるようで、OWNとして曲を出し、1人で20万以上の再生数を叩き出すクオリティ。
OWNの歌詞は心の叫びといった印象を受けるらしく、まふゆが唯一できる自分の表現だったのだと思われます。
しかし母親はまふゆのシンセサイザも「いらないでしょ?」と捨てようとしました。
悪意はなく、まふゆが曲を作っていることもそれが唯一のアウトプット手段であることも知りませんし、まふゆもそれを口にしません。
自分がどこにもいない絶望と限界を迎えた心は「だれもいないセカイ」を生み出しています。
自分を探し続けて、見つかるかもと期待して、見つからなくて、もう疲れてしまったまふゆ。
そんな彼女の心に唯一触れたのは奏の曲で「少しだけ救われたような気がした」
そして奏と一緒に活動すれば見つかるかも知れないと期待しましたが見つからず、奏の今の曲では足りずに絶望し、拒絶し、消えようとします。
しかし奏が自分のエゴだと認めながら「救える曲を見つけられるまで作り続ける」と近い、相互依存のようや危ういバランスでつなぎとめました。
私の好きなVTuberの表現を借りると「薄い氷の上みたいな脆い関係」
まふゆの「だれもいないセカイ」は、まふゆの心の動きと同様に変化が見られ、最初にはミクしかいなかったセカイにリン、MEIKO、ルカも生まれました。
このバーチャルシンガーたちやセカイの変化は、奏がまふゆを救う曲をつくるヒントが得られることも多い重要な情報源でもあります。
追い詰められた絵名が1人になるためセカイに来たり、絵名を助けるために奏たちがセカイへ探しに来たりと、メンバーをつなぐ場所でもあります。
瑞希がいないとバラバラになる
瑞希は人の心の機微に気がつきやすい人。
悪くなった空気を明るい方向へ誘導したり、時間が必要な時にはまた明日と仕切り直させたり、誤解がうまれそうな場面でメンバーの真意を引き出したりしてくれます。
絵名はまふゆに対して、才能への嫉妬と性格的な相性からよく喧嘩になりそうな場面がありますが、絵名が場をなだめています。
奏は自分から外出しようとせず、まふゆは自分から何かを提案することがなく、絵名もあまり自分から誘わず、誘ったとしてもまふゆを素直には誘えないでしょう。
そんな3人を外に誘い、連れ出してくれるのはいつも瑞希です。
実際に、イベントストーリーで人形展や心霊スポットに全員で行けたのは瑞希のちょっと強引なお誘いから。
そしてその外出が新曲の誕生につながります。
絵名がいないと進まない
絵名は場を大きく動かしてくれる、力の強いメンバーです。
奏はニーゴの要ですが引っ込み思案な方面の優しさで強く出られません。
まふゆは自分から何かをすることはありません。
瑞希は外出などの刺激を与えますが、基本的に共感や提案の姿勢でいます。
一方で絵名は、特にまふゆに対して素直な苛立ちを伝えたり、これぐらいはしたら?と注意します。
まふゆは無感動無感情で静かですが、絵名がかなり白熱するためケンカっぽい雰囲気になることも。
この良くも悪くも熱い空気は、奏とまふゆのように静かな2人や場を穏やかにする瑞希だけでは発生しません。
絵名は、怒り、嫉妬といった「動的なネガティブエネルギー」を持っている唯一のメンバーです。
これはまふゆの絶望や、瑞希のあきらめとは違う攻撃的な感情で、「だれもいないセカイ」では全く存在していないエネルギー。
ナイトコードでも、誰も何も言わずに時間が過ぎてしまいそうな場面で絵名が「あんたねぇ!」と激しい感情を出すことで話が進み、行き過ぎそうであれば瑞希が止めてくれます。
バーチャルシンガーたち
冷めていそうに見えて、寂しがりやで精神が子供みたいなミク
冷たく見えて優しく情のあるリン
傍観者に徹するMEIKO
進展には揺さぶりと破壊が必要だとするルカ
彼女たちもニーゴが危うい時や行き詰まった時に刺激や助言を与えてくれる存在。
特にミクは、メンバーがギクシャクした時も、みんなミク相手にはおだやかに接する、危ういつながりを強くしてくれる要にもなっています。
メンバーが辛い時やひとりになりたい時にセカイに行くのも、ミクだけはそこにいても大丈夫だし、言えば離れた距離で1人にしてくれる、ある意味で最も心を許せる存在だからではないかと。
今のところ男子がいないのもニーゴらしさを感じていますが、これからレンやKAITOも登場するのか気になります。
OWN
自分を見つけたいまふゆが1人で曲を作っていたOWN。
「own」は「自分の」という意味の単語です。
自分を見つけたいから、自分を探すために曲を作る活動名だからこの名前にした、というのが素直に考えつく理由。
(ここからは根拠の薄い思いつきです。)
「own」って「Unknown」にも含まれています。
Unknown(不明)
奏は、まふゆの歌詞について「言葉選びがいい」という旨の感想を抱いています。
「I」でも「me」でもなく「own」だったのは、自分を見失っているまふゆが自分につけた言葉で、そこに「Unkown」が含まれていても違和感がないように思えました。
最後に
「25時、ナイトコードで。」には、『この人がいなくなってもそれなりになんとかなるだろう』と思えるメンバーが思い当たりません。
奏が居れば残りのメンバーで活動自体はなんとか続くかも知れませんが、たやすく崩壊しそうな危うさがどうしても増してしまいます。
そして奏がいなければ一瞬でグループとしての形はなくなるでしょう。まふゆは所属する理由がなくなり、絵名はまふゆと一緒にいられないし、瑞希がひきとめても2人は離れていくと思う。
かろうじて瑞希と絵名は友人関係が続けられそうではあるものの、絵名の痛みを和らげるには瑞希だけでは足りず、瑞希が自分の秘密を打ち明けるタイミングも来ないことが想像できて、瑞希の思う「どうせ今回も」の時期が来てしまうかも。
一本の鉄骨を引き抜いたら崩壊してしまう塔のような、ギリギリのバランスで保たれているグループ、それが「15時、ナイトコードで。」だと思うのです。
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