BPO『ヤニねこ』苦情がいったらしい
BPO(放送倫理・番組向上機構)に、喫煙がやめられないしやめる気もないネコ耳キャラクター『ヤニねこ』が主人公のアニメに対する苦情がいったらしい。「深夜アニメとはいえ、愛煙描写を全面に出しており、問題ではないか?」
ちなみに、その内容をちゃんと見たわけではなく、そういう記事のタイトルを見ただけだ。実際にあったことへの問題提起としては的外れになるかもしれないが、考え方としては重要な話。
前置き
私の立ち位置
- 深夜アニメの喫煙を止めさせようとすること(表現規制)に強く反対
- 私は超嫌煙
(自分が吸いたいとか、好きだから擁護してるわけではない。という提示)
私の結論
- ヤニねこで煙草を始めたくなる人は少ない
- その視点ならむしろ危険なのは『スーパーの裏でヤニ吸う2人(以下、スパヤニ)』
- 議論に上がること自体はOK。でも偏向報道とかスルーしてこれは議論するの?という疑問
- しかし、スパヤニを含め、深夜アニメの喫煙を止めさせようとすること(表現規制)に強く反対 ※重要なので二回目
ヤニねこはフィクション
ヤニねこは『喫煙者クズ』なキャラ。憧れるのは無理
デザイン的には美形の部類に入るが、「それでも無理」という人や、視聴をやめる宣言が多数見られるほど汚い。
タバコの吸殻が散乱する部屋。タバコの煙で薄汚く汚れた部屋。床にはコゲたあともあり、あわや火事になる寝タバコや火のついた灰が落ちることが日常であることを感じさせる。

「ヤニねこが吸ってて、煙草に憧れる」なんてことは無いはずだ。
ヤニねこきっかけで『再開』する人はいる
Twitter(X)を見ている限り、「ヤニねこを見てるとタバコを吸いたくなくなる」派と、「禁煙やめたくなる」派がそこそこいた。
ただ、前述の通り『ヤニねこに憧れる』人はかなり少ないだろう。そして、あれに親近感が湧くとすれば、もともとヤニカスである。その場合、ヤニねこ見たから禁煙が終わってしまうというのも、『良い言い訳が見つかった』程度の影響だろう。

ヤバいくらい太っている人がラーメンを食べているのを見て、自分もラーメンを食べてしまいダイエットを失敗した……という話を聞いた時、「ラーメンを食べ続けた結果あの体型になったという姿を見てるのに食べてしまうのは自己責任では?」と思う人も多いのではないだろうか。
フィクションに責任はない
食べたくなることや吸いたくなることのトリガーになることはわかるのだが、フィクションにその責任を負わせるのはおかしいと思う。フィクションに責任を負わせるなら、浮気・殴る・殺人事件の描写も禁止すべきだろう。
過去には、離婚ドラマの流行で新婚旅行後の離婚が増えた、なんて噂もある。離婚は悪いことではないが、そういう影響は確かにある。
しかしタバコ・エロだからダメで、浮気なら良いとはならないだろう。タバコやパチンコはたしかに合法麻薬という巨悪だが、一応は合法。一方、浮気は民事裁判になれば賠償が請求されかねない不法。殴って解決や殺人に至っては刑事事件だ。
合法不適切ならダメ、最初から違法ならOK……などとなると、基準がわからない。
喫煙を肯定するのがマズイなら、スパヤニの方がヤバい

ヤニねこと同じ期間に放送された『喫煙者同士の大人の恋愛』
スパヤニは、『現代では見る目がきびしい肩身の狭い喫煙者男女が大人の恋愛をする話』だ。
Twitterの反応において、ヤニねこは「汚い」「無理」という意見が多く見られた。
一方でスパヤニは「雰囲気がいい」「とても素敵」という声が多かった。中には「私もタバコを吸ったらこんな出会いがあるかな」「吸ってみようかな」なんてレアな人もいた。
比較するのであれば、ヤニを肯定しているのは明らかにスパヤニなのだ。

ヤニねこのクレームは生理的嫌悪感
これはただの推測だが、そう考えた根拠を書こう。
この期間は「この時代にヤニがタイトルに入るアニメが2本もあるのか」という話題にもなっていた。
スパヤニは自立した成人男女の恋愛で、雰囲気がいい。一方、ヤニねこは社会不適合で理性のないケモ耳たちの退廃的な生活で、画面ごしでも悪臭を想像できるレベルで汚い。

クレームを入れた人がスパヤニを知らなかった可能性もあるが、スパヤニとヤニねこについて理屈で考えれば、喫煙者を増やしたり肯定したりする悪影響アニメはスパヤニのほうだ。しかし、スパヤニの名前は記事タイトルになく、ヤニねこのみへのクレームだった。
その前提で「スパヤニがOKでヤニねこがダメな理由」を考えてみると、「ヤニねこ見てると気持ち悪い」という嫌悪感でしか無い。
タイトルでは「喫煙を全面的に出している」という問題提起だったが、それを言うならスパヤニは喫煙を重要テーマとした人間関係だし、ヤニねこは喫煙をダメ人間(ねこ)の象徴とした作品だ。
感覚的には「いや、スパヤニはメインが恋愛で喫煙はフックだから」と言う人がいるかもしれない。
しかし、それを言うならヤニねこも「ダメ人間(ねこ)がテーマであって、喫煙はフック」である。なんたって、ヤニねこの世界にはヤニねこ以外に、アルねこ(アルコール中毒)がいたり、ヤクねこが薬に溺れていたりする。主人公がヘビースモーカーというだけだ。

「スパヤニやヤニねこは深夜アニメとしても問題ではないか?」なら、賛否はともかく一貫性がある。しかし、スパヤニに触れずヤニねこだけを問題視するのは違和感が強い。
理屈抜きで「なんか気持ち悪いから」で表現規制をすれば、世の中でしていい表現なんて、ほとんどない。なんたって、その「ヤニねこは問題」というクレームを気持ち悪いと思う人だってものすごく多いかもしれないのだから。
フィクションは規制すべきではない
非常に難しい問題ではあるが、表現規制は可能な限り避けるべきだ。
表現の自由は基本的人権である私は考えており、これがみだりに規制されることは非情に恐ろしい。
『本を焼く国は、いずれ人を焼く』
この言葉は、歴史がそれが事実だと証明している。
現状の規制はこんなイメージ
- エロは不適切だから表で出さないように
- 極悪キャラでも「殺す」とか言っちゃダメ
- YouTube動画で『殺す』『死ね』とか漢字で書くとAIに感知されて不利
- 未成年が真似したらよくないから、タバコは未成年キャラやミュージックビデオではフィクションでもやめよう※1
↑ここまでは、すでに実現していると言っても過言ではない
※1:90年代の漫画作品である『ジョジョの奇妙な冒険』では高校生の空条承太郎が喫煙していたり、人気J-Rockグループ『L'Arc~en~Ciel(らるく あん しえる)』がミュージックビデオでほぼ毎回喫煙が出てきていた。
現代版でリメイクされたジョジョアニメでは喫煙している口元が黒く潰されていた。L'Arc~en~Cielは時代の変化+ミュージシャンとしてのプロ意識により、現在は吸っていないらしい。
過度な圧力はすでに実行されている
- エロは不適切だから裏でも禁止にしましょう
- 肌を出していなくても美少女キャラはエロなので規制しましょう
みたいな暴論も見られ、実際に、別にエロくもなんともない女性キャラクターの提示が規制されたことがある。「ツイフェミ 事件」とかで検索してみると、公式キャラクター潰しや水着撮影会イベント潰し、1日限定の男性専用車両イベント潰しなど、彼らの悪行はいくらでも出てくるだろう。デマも混じっているかもしれないが、割と事実が多く、それなりに信用できる報道会社も載せたネットニュースにもなっている。
一時期は米英の映画が腐ったことがある。
ポリコレの暴力的圧力により、名作IP映画の主人公がのきなみ黒人になったのだ。黒人を主人公にするのは良い。アジア人でも良い。白人でも良い。動物でも良い。しかし、政治的事情でエンタメが汚されるのはなんと醜悪なことか。
VISAやMasterCardの腐敗
さらに米英では規制が暴走状態で、クレジット会社大手のVISAとMasterCardが『🔞を販売しているサイトでは使用不能にする』という動きを実行している。おかげで、ダウンロードサイトや企業は自粛せざるを得なくなった。
企業ブランディングとして🔞に一切関わらないというのはよくある判断だが、VISAやMasterCardレベルのクレジットカードは売買に使用するインフラだ。これを企業が恣意的にコントロールするのは、もはや政治や支配の領域にある。
たとえばGoogleもいまやインフラになっているが、もしもGoogleが表現規制に加担し、Google検索から🔞を完全除外、🔞関連に関わる人はGmailもYouTubeも使用不可……などとなれば、実質的に人は🔞に関わることができなくなる。
規制の先は現実の暴力
実のところ、規制は犯罪抑止に逆効果の可能性が高い。
根拠の1つとしては、ポルノ大国と揶揄されるほど表現自由度が高めの日本は性犯罪率がとても低い。韓国の5分の1,フランスの10分の1未満、イギリスの50分の1近い低さである。

これはこども家庭庁によるデータで、公的なものだ。
「日本は暗数が~」という主張もあるが、海外にも当然暗数はあり、日本だけが海外の5倍~50倍も多いという根拠はない。同率程度という主張もある。データを疑うことも大事だが、根拠がないものを事実の前提として持ち出す人間とは議論が不可能なので、それはどうしようもない。
さらに、内容も物理的な暴力を伴うものか、触っただけなのかという点でも内容が大きく異なる。もちろん後者も最悪なのだが、触るタイプの犯罪率を減らすには、国民性とか厳罰とかよりも、満員電車問題をなんとかすべきだろう。実現はむずかしい……まぁ、防犯カメラくらいはつけてほしいが、満員電車では決定的な証拠にならなそうなのと、誰がその費用を出すの?という問題もある。話は逸れたが。
ともかく、日本の10倍近くの性犯罪率を誇る米英こそ、日本にポルノ規制を求めている国である。これだけでも、表現規制に意味があるどころか逆効果では?と疑う根拠になるのではないだろうか?というか、実際に規制を強めたら犯罪率が上がって戻さざるを得なかったというは、ポルノでも実際にあったし、有名なものではアルコール規制が大失敗した歴史もある。
最後に:飛躍と言われるのだろうけれど
「ヤニアニメを深夜でも流すな」という話から、フィクションは規制スべきではない、なぜなら表現規制・ポルノ規制によってむしろ犯罪率はあがるのだ……というまでの話となった。
こうした私のロジックはよく飛躍だと言われるのだが、実際に表現規制などは『滑りやすい坂道』という言葉があり、1つが実現すると次々と強い規制やシステムが実行しやすくなるという現象がある。
今となっては信じられないことだが、昭和の途中までは日本に消費税がなかった。
昔は1万円で買えたものが1万千円も払わなければならない。多くのお店は税込価格を小さく書いて、安いように客を騙すことに必死だ。
3%の消費税が実現する時は猛烈な反発があったが、5%の時は当時よりも抵抗が少なかった。8%の時はもっと減った。執筆時では、もう10%が当たり前になっている。
同じように、ポルノ・殺すなどの過激発言・タバコ・酒……と、表現の規制や自粛もただただ加速していくのだ。
私はタバコはフィクションでも不快だし、現実で非喫煙者も通る場所で喫煙する連中は消滅してほしいが、フィクションなら健康被害も悪臭もない。ただ不快というお気持ちでしかない。規制には猛反対だ。
お気持ちや不愉快さで規制をかけてはいけない。なぜなら、不快という発言も不快なため、いつかは不快と言う権利すら失いかねないからだ。
そして、不快さを決める権利は誰が持つのか?という問題もある。『普通』というのは人によって違う。それに頼るのはあまりに危険だ。何を発言していいかを法律(政治)が決めるとなれば、それこそ「政府に反対する声なんて不適切だ」という言論弾圧だって可能になる。
Twitterでは「政府が言論弾圧している!」と騒ぐ人がたくさんいるが、それをSNSで堂々と言える時点で言論弾圧はされていない。言論弾圧は、SNSでそれを言ったら逮捕、あるいは処刑される。彼らが騒げるのは、皮肉なことに平和の証だ。
ヤニねこは深夜アニメというだけで、すでにゾーニングできていると言っていいと思う。
私たちはフィクションを楽しむために、発言の自由を守るために、ネットで政府が言論弾圧していると荒唐無稽なことを言っている恥ずかしくも不快な人たちが存在できる平和のために、ヤニねこを規制すべきではないのだ。
蛇足
スパヤニの公式略称は「ヤニすう」らしい。(調べる前に書いた)
